日時:2019年1月17日(木)18:30~
場所:東京国際フォーラム・東天紅
2019年第一回目の例会講師は中央大学総長の酒井正三郎先生です。演題は『変貌する中国』。中国の経済発展とこれからを6つの項目に分けて解説してくださいました。
この日は中央線で事故があり間に合わない方が数名いる旨、福田さんから説明があり例会が始まりました。
まず、嘉本会長の開会の挨拶。
嘉本さん:明けましておめでとうございます。箱根駅伝…残念でした。しかし、最後の明治とのデッドヒート、あれは良かった。あれが10位と11位だったらどんなに良かったかと(笑)。来年は必ずやシード権を取ってくれると確信しています。今日は酒井総長においで頂きましたので、木曜会のことを少しご説明します。
と話し、『東京木曜会』の源流が大分で勤務中の若手中大OB達が始めた“木曜会”にある事、そのOB達の東京転勤に伴い1990年4月、小林重美先輩らが発起人となり第一回例会が行われ、それから毎年、例会、母校のスポーツ応援、小旅行などのイベントを行って今年で29年なる事を説明。
嘉本さん:本年も宜しくお願いします。では、酒井総長、どうぞ。
酒井総長から木曜会に感謝の辞を頂いた後、講義。ご用意頂いたレジュメは資料編を入れて42ページでした!
━変貌する中国━
Ⅰ中国という国・・・中華人民共和国がスタートして70年、2010年には米国を抜いてGDP世界第2位に。今や中国は製造大国から消費大国へと変貌し、日本にとっても最大の貿易相手国となっている。GDP第3位の国が第2位の国に経済援助を続けるという歪な日本からのODAも2018年度を最後に打ち切られ、対等な立場となる。
酒井先生「中国政府は日本のODAの情報を国内には出さず、空港、港湾、ダム等の大規模施設が日本の援助で造られた物である事を中国国民は知りません。」と。
Ⅱ中国の国家目標・・・2020年迄に総合国力で米国を抜いて世界一となる事→“中国梦”=中国の夢。目標とする時代は1820年代。中国の国力が世界一であった時代。2021年までに一人当たりの所得を上げ“小康社会”=ゆとりある社会に、2049年迄にトップレベルの国力と国際的影響力を持つ国に、という100年目標を掲げている。
酒井先生「途上国支援として大規模な土木事業を行い、返済できない資金を貸し、結果、その施設の所有権を中国が持つという事態が起きている(スリランカ・ハンバントタ港)。マハティールは新幹線やめましたネ。と。
Ⅲ中国の経済発展・・・自動車産業に重きを置き、EV(電動車)及びPHV(自動運転車)の開発・製造・販売に力を入れ、2016年に自動車の販売台数では世界1位、所有台数では2位となっている。GDPが米国を抜いて世界一=“チャイナアズナンバーワン” になるのは楽観予想で2020年、悲観予想でも2038年とされている。
Ⅳ成長の経済脹(つけ)・・・急速な工業化の過程で2000年代に『ルイスの転換点』(工業に従事できる農村の余剰労働力が底を突いた状態)を迎えた。経済成長の為に採られた“一人っ子政策” (労働力である15歳~64歳の割合を増やす目的もあった)のつけも顕れ、急激な高齢化が進んでいる。地域や階層によって貧富の格差が著しく、CO₂排出量の増大や河川の水質汚染、粉塵による大気汚染の問題等も置き去りにされた状態。
Ⅴ新常態(習近平の言葉)・・・中国経済が高度成長期を終え中高度成長期に入ったことを示す用語が“新常態”。英語ではニューノーマルと訳される。中国経済の成長の中心が生産増大から技術革新へ、投資から消費へ、第二次産業から第三次産業へと、所有面では国有企業から民間企業へと移りつつある。
Ⅵ変貌する中国・・・経済発展に伴い貿易摩擦も増大。特に収支不均衡(米国の立場から)による対米摩擦。関税の吊り上げ合戦的な様相を呈している。産業、技術、貿易の急速な発展に反比例するように国体は保護主義の色が濃くなっている。習近平の任期は撤廃され増々権力が集中しており、共産党の支配下で発展していくことが中国の理想。その中国の発展モデル=“中国方案”を途上国に提案することが可能と考えている。‟党・政・軍・民・学・東西南北、全てを共産党が指導する”ASEANにおいてこの中国型秩序への共感が多数派になっている傾向がある。
おわりに・・・酒井先生は“中国はリプセット(S.Lipsetアメリカの社会学者)仮説”を回避できるかという問いを取り上げた。経済発展と民主主義の間には相関関係が存在する、国が豊かになると人々はより民主的な社会秩序を求める、そのように変化していくという説。中国はAIと監視カメラによる“天網”というシステムも用い支配力の強化に努め成功しているように見える。しかし、国として豊かになる一方で格差の増大も激しく、富裕層は“個の充実”を求める傾向も強く、共産党支配の強化を推し進めれば、何らかの変革を受け入れざるを得なくなる可能性は否定できないのではないかと、結ばれた。
久し振りに講義を受け、学生に戻った気分でした!酒井先生、お忙しい中、ありがとうございました。
乾杯の発声は、佐藤さんのご指名を受けて成田さん。
成田さん:明けましておめでとうございます。酒井さんから大変貴重なお話を頂きました。酒井さんへの感謝の気持ちを込めて、今日はありがとうで乾杯したいと思います。どうもありがとうございました。
一同、乾杯!拍手!
̶懇親会̶
「今日はさすがに参加者多いですね。」「多いですね。28人くらい?」「隣、ずっと空いてるんですけど…。えっ納富さん?家ですか?例会、忘れてた!?」(笑)「最近、若い人呑まなくなったね。」「私の周りの女子はカパカパ呑んでますけど。」「ああ、女子の方が呑む!
「男の子がナントカサワー飲んでる横で女子が日本酒グビグビとかある。」「小松さん九州ですよね、やっぱり焼酎ですか。」「そうそう、酒って言うと焼酎。子供の頃なんかおばあちゃんが“車酔いするから酒買って来い”って。車に酔う前に焼酎で酔っとこうみたいな。」(笑)「高校の時、友達の家に行ったらそこのお父さんが凄い酒呑みで、こっち来いって呼ばれて、焼酎飲め飲めって勧めるの。(笑)」
「昔、高校生呑んでたよね。」「卒業式直後に居酒屋で先生と卒業生が呑んでたりしましたよね。」「呑んでた呑んでた。」「今だったら大問題。」「今、若い子誘って飲みに行ったら身分証確認される。店も責任取らされるからね。」「柳さん出身どこ?」「高知です。」「高知は日本酒でしょ。」「はい。日本酒です。」「日本酒と鰹!」「僕、何年か前、龍馬に呼ばれて桂浜行ったんですよ。」「龍馬に呼ばれて⁉」「そう。それで(龍馬像に)おお、来たぞって挨拶した。」流石、小松帯刀の末裔!(笑)
私の周りはお酒話で盛り上がっていましたが、ここで嘉本会長、進み出て。
嘉本さん:東京木曜会創立メンバー、重鎮の小林先輩から一言。
小林さん:1989年に発起人の一人になって東京木曜会を始めました。会員は24~5人で、講師を招いて話をしてもらったりしました。数年前体調を崩してから参加できませんでしたが、今年、復帰しましたので、宜しくお願いします。さて、酒井先生、法学部の都心回帰は決まりですか?̶はい、決まりです。̶法学部の次は商学部ですか?(商学部卒の小林さん)̶それは順次…。̶経済ですか?
酒井さん:難しい問題もありますので、そこはまだ…。何も隠し立てしている訳ではなく…法学部は2023年に都心に戻ります。これは、決定です。他学部はまだ…懐具合もありますので決まっていません。
嘉本さん:小林先輩、ありがとうございました。次は、井原さん。
井原さん:一昨年、木曜会で大学のブランディングについて話したんですけど、中大は広告戦略が下手だと思うんです。
質問を受けて、酒井総長、律儀に食事を中断して前へ。
酒井さん:確かに宣伝下手です。大学としてのコンテンツは充分揃っていると思うんですが、広報の専門家を雇ってないんです。一般職員が担当以外の仕事としてやっている状態で、中々。法学部には私達“秘宝館”と呼んでる部屋があるんです。中大の創立者、増島六一郎、彼は英国でバリストル(法学士代言人)の資格を得てるんですが、法廷に立つ時の白髪の鬘とか使っていた机、椅子なんかも保存してあるんです。こういう物を元に“21世紀館”を造ろうっていう計画もあるんです。125周年に向けて。寄付も募ってます。国際学生寮もできます。あと、箱根駅伝とかスポーツも重要なブランディング材料です。
この後“超”有望水泳選手の獲得の裏話、苦労話、あの問題があってN大学との獲得競争に勝てそうだったけど…断念話、色々話してくださいましたが、ここには書きません。(ヒソヒソ、笑)
お試し参加の平手啓一さん:卒業以来、大学とは関わってこなかったんですが、娘が法学部に入学したりして̶おお!拍手̶これから中大にコミットしていきます。宜しくお願いします。
嘉本さん:次期会長である河野さんに挨拶頂いて、市川さんにエールを切って頂くということで、はい、河野さん。
河野さん:何度も言うようですが私は嘉本会長が亡くなったら跡を継ぐんで…。(笑)木曜会は(中国の労働人口の話に寄せて)15歳から64歳は少ないです。65歳以上に頑張ってもらわないと活動できません!ということで、今年も宜しくお願いします。
市川さん:納富先輩の物忘れのおかげで、今日はエールを切らせて頂きます。酒井総長おいでということで、是非とも中大の変革をお願いしたい気持ちを込めて。フレー!フレー!
頭のてっぺんから指の先までピンと伸びた姿勢からのエールを聞いた後、全員で拍手を以って酒井総長をお見送りし、174回例会、お開きとなりました。
役員の皆様、お世話になりました。そして、今年も宜しくお願いします。
(木曜会・柳)