日時:2025年3月19日(水)18:30~
場所:東京国際フォーラム東天紅

東京駅天井

東京駅天井

 東京木曜会ではありますが、今回は水曜開催。20日木曜日が春分の日でお休みなので19日にした方が“皆さん心置きなく飲めるのでは”という幹事さん達のご配慮で。
 定刻になり福田さんの司会で例会の始まり。まずは河野会長の挨拶から。

河野さん:朝、真冬で雪降ってたのに昼から急に春めいて。で、球春到来!昨日はメジャーリーグ開幕戦、観ました、テレビで。ドジャース対カブス。俄かドジャースファンの私はドジャースには勝ってほしいけど今永君は打たれてほしくないと思ってて…思い通りの結果になってとても気分がいいです。で、本日の講師ですが(笑)今、旬。昨年、旭日小綬章を受けられました横井弘明先輩です。宜しくお願いします。
福田さん:佐藤さん、落合さん、入会申込書頂きました。―拍手―今日は大学でイベントがあって欠席の後藤先輩の紹介で木下さん、ゲスト参加です。―拍手―では、横井先輩お願いします。

◇◇◇◇横井先輩卓話◇◇◇◇

横井先輩「死刑制度について、穏当ではないテーマ。誰しも問題意識を持っていて而も各々考え方が違う。軽々には判断できないテーマです。」と始められました。

1. 取り上げた理由
 ▪刑罰の本質に係る問題であり、各々存置か廃止か結論が違う。また、一般の人は知らない事も多い。
 ▪2024年2月日弁連の呼びかけで設立された『日本の死刑制度について考える懇話会』が2024年12月国会に報告書を提出。

横井先輩:日本の死刑制度は問題が多いのではないかと考える法曹関係者も多いです。因みに私は死刑廃止を支持しています。

2. 法定刑に死刑のある犯罪
 ▪内乱罪、現住建造物放火罪、汽車転覆等致死罪、殺人罪、強盗致死罪、爆発物使用罪等々

3. 量刑
 ▪永山基準→永山則夫死刑囚が19歳の時に4人を射殺した事件の判決
 ▪被害者の数→1人の場合死刑32% 3人以上の場合75% 2人が死刑か否かのボーダーライン

横井先輩:永山基準というのがあります。永山則夫は犯行当時未成年でしたが、結果の重大性、被害者の数、社会的影響等から死刑が言い渡されました。被害者1人ではまず死刑はないです。3人以上だと死刑の確立が上がる。2人でも死刑判決が出されたのは1999年の光市母子殺害事件です。この犯人も未成年でしたが母親と乳児を殺害し反省の色も見られないということで、死刑判決が出されました。永山基準は明文化されたものでも強制力があるものでもないですが、以降の量刑に影響を及ぼしています。

4. 執行
 ▪執行は死刑確定後6ヶ月以内、執行命令から5日以内。方法は明治6年から絞首刑。執行数、年数名。

横井先輩:刑の執行数は少ないです。確定後6ヶ月以内に執行と決められていますが、そういうケースは殆どないです。死刑が確定してから10年20年収監されたままの人が多いです。それもある意味残酷かなとも思います。方法、絞首刑です。すぐ意識を失うから長く苦しまないという人もいますが、そうでもない。ギロチンは残酷と言われますが、あれは身分の高い人の刑です。一瞬で絶命しますから。庶民は絞首刑でした当時も。

5. 厳罰化傾向
 ▪90年代以降厳罰化が進む。

講師の横井さん

講師の横井さん

横井先輩:実際には日本では殺人事件は減っています。人口が1億人以上の国で日本ほど殺人事件の少ない国はないです。でも何故か世論は厳罰化に。日本の量刑、戦後暫くは環境が劣悪だったという背景があっての犯罪という事もあって厳罰化の流れはなかったんですが。一つには小泉政権時に“自己責任論”が広まったのもあるかと。犯罪を環境のせいにするべきでないという考えが…。交通事故死は年3000人程、自殺は20000人以上、胃癌死は30000人、殺人は200件。殺人犯を死刑にするより癌の治療に金かけた方がよっぽど人の為じゃないかって言う人もいます。厳罰化と同時に被害者遺族への情報開示も進んでいます。片山隼君交通事故死の裁判で被疑者がひき逃げの罪について不起訴となり、地検が通知の規定は無いと遺族に判決理由を知らせなかった事が問題視され国会でも取上げられ、情報開示へのきっかけとなりました。

6. 死刑の存続に関する議論
 ▪存置論と廃止論

横井先輩:存置派の根拠に社会契約論というのがあって“殺されたくないから殺人は死刑という契約を結ぶ”と。でも社会契約論者の中にも殺人即死刑ほどの契約は無理があると考える学者もいます。私は、法曹に携わったばかりの頃は死刑存置の考えでしたが、今は死刑廃止を支持してます。

 ▪日弁連2024年12月 死刑廃止の要望書を法務大臣に提出→死刑制度廃止の立法措置を講じる、死刑が廃止されるまでの間執行を停止する、終身刑とセットでの廃止等を要望。

横井先輩:昔は無期懲役と言っても10年程度で出てくるってあったんですけど、今は無いです。30年は入ってます。無期懲役が出されるくらいですから成人してますよね。それから30~40年…中で死ぬ人、多いです。

 ▪歴史→平安時代の350年間ほどは死刑は廃止されていた。武士が力を持つようになり死刑再開。
 ▪存廃論の論点

横井先輩:誤判の可能性があるというのが1番の問題です。執行された後に真犯人が分かる、間違いでは済まされない。一応日本では無いということになってますが、グレーなものはあります。長期に渡って死刑囚として収監された後の再審無罪、精神的、肉体的苦痛、家族の経済的負担も大きい。最近では袴田元死刑囚の再審無罪がありましたね。イギリスではエヴァンス事件という死刑執行後に冤罪が証明された事件があって、死刑廃止のきっかけになってます。存置派支持の根拠に被害者遺族の処罰感情もあります。では、被害者に家族のいない場合はどうなんでしょう。犯罪の抑止なるとの説もありますが、決定的な証明はありません。

7. 今後の見通し
 ▪世界の趨勢

横井先輩:世界は死刑廃止の方向に向かっています。EUは死刑廃止です。調査すると国民の過半数は死刑存置なんですが、廃止となっても反発は少ないんです。

 ▪米国の動向

横井先輩:日本、国連から人権問題で色々勧告を受けてます。死刑制度についても。でも、アメリカはやってるって言えたけど、米、今は29州が死刑廃止、これが増えてくるとそうは言えない。米の死刑執行は薬剤注射。この薬剤、EUから買ってるんだけどEUは死刑廃止してるから売らなくなってる。薬剤が入って来なくなると死刑廃止州が増えるんじゃないかと思います。

 横井先輩、存置、廃止どちらとも結論は示さず「刑罰の本来の目的は応報ではなく改善です。人が人に死という刑罰を科す…重い問題です。これを機に考えてみてください。」と結ばれました。レジュメもご覧ください。

◇◇◇◇乾杯◇◇◇◇

福田さん:深いお話で聞き入ってしまいました。横井先輩ありがとうございました。では、乾杯の挨拶を、やっぱり(笑)前会長の嘉本先輩に。
嘉本さん:刑の目的は応報ではなく改善、興味深く拝聴しました。ありがとうございました。え~今日は雪の中(朝だけでしたが)―笑―ご参加ありがとうございます。では、皆様の御健勝を願って乾杯!
グラスを合わせる音の後、拍手。

乾杯の挨拶 嘉本さん

乾杯の挨拶 嘉本さん

◇◇◇◇歓談◇◇◇◇

◇◇朝の雪の話
「朝、雨戸あけたら庭が薄っすら白くなってて、何か撒いた?って。」「雪だって分からなかったの(笑)!」「はい。何かシャーシャー音がするなって思ったら霙ふってて。あ、白いの雪かって。」―笑―

安藤さんと櫻井さん

安藤さんと櫻井さん

竹村さんと福田さん

竹村さんと福田さん

◇◇自転車の話
「最近、免許取る人減ったよね。我々学生の頃は男は皆、免許取りに行ったよね。」「天気いいとドライブ行きたくなる。」「天気よかったら自転車ですね。自転車おばさんだから。」「近所なら自転車いいけど。」「うち、家族で3時間近くかけて羽村堰まで行きましたよ。」「3時間!」「はい。知ってますか?3時間も自転車に乗るとお尻が痛~くなるんですよ。」「そうなの?」「帰りに居酒屋でご飯食べて1時間ぐらいしてから自転車に乗ったとたん 、3人揃って痛~いって声出ちゃいました!」―笑―

魚本さんと伊藤さん

魚本さんと伊藤さん

関口さんと長井さん

関口さんと長井さん

◇◇美人?の話
「今日は酒のまわりが早いよ。」「1ヶ月ぶりだから?」ここで竹村さん「違うでしょ。美人が2人(竹村さんと柳?)も目の前にいるから。」アッハハハ~、一際大きく福田さんの笑い声!「That’s right!回りが早い訳だ!」と長井さんフォロー。

落合さんと佐藤さん width=

落合さんと佐藤さん

嘉本さんと河野さん

嘉本さんと河野さん

◇◇中大生の頃
「大学の同期と10月に久々に集まることになって、スマホでやり取りしてるんだけど、そいつが送信してきて。」と大学時代のサークル合宿の写真を見せながら長井さん。「えっどれどれ?」「1番端。」「え~っ別人‼分かんない‼」「俺もビックリだよ!(笑)」「あ、58会の同期は奥さんに詐欺って言われるって。」「結婚した頃と違い過ぎて?」「そう。」「違い過ぎた?」「若い頃の写真見せてもらったけど詐欺でした!」―大笑―

ゲストの木下さん

ゲストの木下さん

◇◇◇◇ゲスト挨拶◇◇◇◇

福田さん:皆さんがお酒に飲まれる前に。ゲストの方に自己紹介を。木下峻一さんです。
木下さん:後藤先輩の紹介で参加しています木下です。仕事は採用顧問をやってます。採用の仕方が間違ってる会社にアドバイスしたり。採用と同時に社員の育成もしています。若輩者ですが、仲良くしていただけると幸いです。

 大拍手で迎えられた木下さん、足を骨折されいて杖を突きながらの御挨拶でした。

◇◇南伊豆の話
「この前、湯ヶ島に行ってきました。」「湯ヶ島、いいよね。」「良かった。のんびり下田の町を歩いてロープウェイ乗って。終点にお洒落なカフェできてて。」「寝姿山の?」「そうそう。海の方に出て水族館も観てきた。楽しかった。」「水族館!昔、あそこ鮑とか雲丹とか取れて海水で洗って食べると旨くて。暫くして子供連れて行ったら水族館できてて雲丹取れなくなってた!」―笑―

木下さんと横井さん width=

木下さんと横井さん

境さんと井原さん

境さんと井原さん

◇◇職場の話
「魚本さんは一国一城の主じゃない。」「うちは少人数で、今、産休中の職員いて、これから産休に入る人もいて、私、てんてこまいです。」「伊藤さんの所は大きいよね。」「うちは大人数でやってるから。弁護士50人、弁理士30人、事務職が170人くらい。」―凄いなぁ―「先日、魚本さんに仕事を依頼して、手際の良さに驚いちゃった。テキパキささっと段取り付けて仕事が早い早い。個人的な依頼だったから、魚本さんの仕事を家族が見てて、カ~ッコイイ~って!」「そんなお恥ずかしいです。」魚本さん、照れ笑い。

◇◇◇◇締めの挨拶◇◇◇◇

締めの挨拶 伊藤さん

締めの挨拶 伊藤さん

福田さん:そろそろお時間ですので、これからのお知らせを。5月例会は15日、その前10日はゴルフコンペ、6月は一泊旅行がありますので宜しくお願いします。締めの挨拶は横井先輩のお話しだから絶対聞かなくちゃとご参加の伊藤さんに。
伊藤さん:僕の父は裁判官で、死刑判決を出した時は深く思案している様子が伝わってきました。死刑判決の再審決定を出したこともあって、本棚1竿2竿ある資料を熱心に読んで再審とすべきか相当悩んでいるようでした。死刑、被害者を思えば応報もやむを得ないとも思いますが、人が人に死を科して良いものかと…。え~、横井先輩、真法会の先輩で僕らの指導をしてくださってて。論文演習があるんですけど、僕、失敗論文書いちゃったことあって大学行ったら横井先輩が待ってて、伊藤こっち来いって。行ったら馬鹿野郎って頭ポカンってやられて!それから必死で勉強してその年、司法試験合格しました。今、僕が弁護士でございって顔してられるのも横井先輩のお陰です。僕はもう一生先輩に足を向けて寝ないと決めてます。―笑―では、よ~ポンで締めたいと思います。皆様の御健勝と御活躍を願って!

 全員でよ~ポン!でお開き、福田さんの“名札だけは忘れないで”の声に送られて会場を後にしました。

 横井先輩、幹事の皆さん、ありがとうございました。また、宜しくお願いします。

(木曜会・柳)