東京木曜会20175月例会報告

日時:2017518()18:30

場所:東京国際フォーラム東天紅

□資料はこちら

講義中の井原さん!

今回の講師は株式会社ブランドアド代表取締役の井原 俊二さんです。企業のブランディングデザインや機関誌などの制作をされているとのことで講話のテーマは『大学のブランディングを考える』でした。大学のイメージアップや受験生へのアピール面で在京の他大学に一歩(数歩かもしれない…)遅れをとっている中央大学にはぴったりのテーマでした。そのせいかどうか、大学職員の外村さんも久々にご出席でした。講話後の感想では「興味深く聴かせて頂きました。」と仰っておいででした。

 30ページを超えるレジュメを用意されていて、それを見ながら参加者一同真剣に(いつもが真剣でないという意味ではありません!)お話を聴きました。いつもより長く約1時間の講話でした。

レジュメでは、まず“ブランディング”というものの具体的な説明(マクドナルド、スターバックス、ディズニーランドまたはエルメス、ロレックスなどの例をあげて)から始まり、受験者の志望傾向や他大学の受験生獲得戦略などを紹介し、結果、今、中央大学がどのランクに位置しているかを様々な資料を用い解説されていました。

受験生は大学を選ばなければほぼ全員入学できる状況に、各大学とも如何にして優秀な学生に“選ばれる大学”となるかという点に知恵を絞っている、というのが現状のようです。例えばグローバル化をめざし学部を新設する→津田塾大・総合政策学部、少数精鋭で難関学部にする→法政大学・グローバル教養学部、奇抜なコピーで耳目を集める→近畿大学・「マグロ大学」「近大は眠らない」、等等。都心回帰で受験生増加に成功している大学もあります。中央大学も法学部の都心移転を計画中のようです。また、これからは研究機関としての私立大学という存在も期待されており、文部科学省による『私立大学研究ブランディング事業』への支援ではH29年度79億円の予算が組まれているそうです。

受講中!!

中央大学もいろいろな取り組みを始めていますが、宣伝効果バツグンだった『箱根駅伝』で低迷が続きついに予選落ち、箱根駅伝=中央大学から箱根駅伝=青山学院に…。他大学と同じことをやっていては“目覚しい効果”は望めない、では、どんな方法があるのか?

井原さんは、面白い提案をされています。それは“受験生向けラジオ番組”です!東京FMで『中央大学受験のすすめ』をとの提案です。東京FMは日本全国で聴けて受験生向け番組やインターネットラジオ企画なども多い、何より現エフエム東京の会長が中央大学の先輩、S42年法学部卒の冨木田 道臣さんだし!!(笑)

 

中央大学は地方出身者の多い大学、ということは首都圏で最も全国区の大学ということ、公務員試験にもしっかり対策がとられている、これらの事を利用しない手はないし、いままでの“真面目な郊外型大学”から “行動する都市型大学”へとイメージチェンジも必要と。そしてメディアを活用しての広報を“戦略的大学広報”と名付け具体的な提案をされています。

 

■戦略的大学広報のキーポイント

①広報の“狙い”を定める ⇒「誰に、どんな情報を伝え、どう行動してほしいか」が明確になれば広報の内容・発信手段が決まり、効果的な広報活動ができる。

大学広報のステークホルダー(利害関係者)とは⇒最近の受験生は大学卒業後の進路まで見据えて大学を選ぶ、そうなると受験生だけでなくその親や教員、企業、地方自治体までもがステークホルダーとなる。それぞれのステークホルダーに合わせた広報活動を行うことが重要。

③「とがる=大学の強みを明確にする」「広める=情報を発信、記憶に残す」「よろこばす=満足度を向上させるが大学のブランド力を築く⇒大学のブランド力を大きくする。大学の強みを情報として発信し、記憶に残るように伝えることが必須。 

■戦略的大学広報のすすめ(中央大学HPより)

◇中央大学が掲げるビジョン、どんな人材を育てようとしているかを知ってもらうためにメディアを活用する→受験生向

ラジオ番組を制作→10代のラジオリスナーの80%は通信・インターネットと通じてラジオを聴いている→東京FMは日全国で聴け、受験生向け番組やインターネットラジオ企画が多彩→東京FMで『中央大学受験のすすめ』を!

◇ラジオ番組で中央大学を知ってもらう

 ラジオリスナーに中央大学が掲げるビジョンを知ってもらう→中長期事業計画“Chuo Vision 2025”の周知、新学部創設・法学部の都心移転・グローバル化の推進などを知ってもらう。

◇中央大学のユニバーシティ・メッセージを発信

中央大学の実態と今後の課題は「実学」というキーワードと関連しているとアンケートで確認されている→中央大学だからこそ実現できる実学教育を示す→実学に「変化する大学」「ポジティブイメージへの転換」を付加し『行動する知性』をユニバーシティ・メッセージとして定め、建学の精神「實地応用ノ素ヲ養ウとともに中央大学の人材養成像を表現している→この『行動する知性』というユニバーシティ・メッセージを広く認知してもらうためにも“発信”することが不可欠。

■ラジオ番組の展開イメージ案(井原さん提案!)

ここで『進路の図書館』と題されたラジオ番組の企画が!!

 ~ここは東京、予備校ひしめく御茶ノ水あたりの古い図書館。毎日たくさんの受験生が足を運ぶ…人呼んで「進路の図書館」~で始まる番組のオープニングの台詞や“日替わり図書館長”と銘打った中大関係の有名人、文化人の人選から、中央大学提供の放送時間まで(因みに時間は土曜夜20:0020:25う~ん、シブい時間設定!)、具体的に面白そうな提案がされています。(レジュメの一部を添付しますのでご覧ください。)

強固なブランドの確立と効果的な宣伝がなければ大学も生き残っていけない時代、が受験生だった頃(ひと昔×4…)とは違い“選ばれる”大学にならないといけないようです。井原さんは「大学側の意識改革が不可欠」とも仰っていました。

“質実剛健”が好きで“地味”なところが自分に合ってると思って中大を選んだ私としては少々寂しい気もしましたが、10年後20年後、中央大学が生き残っていてくれる事を願う気持ちは充分持っているので“大学の意識改革”期待しています。

恒例の市川さんの“エール”

丁寧な解説があり、具体的な提案がされ、さすが本職!と感心しました。井原さんありがとうございました。

さて、ブランディングの理論と実践についての講義の後は、いつもより少し短い懇親会。時間は短めでしたが、いつも通り美味しく楽しく、食べ飲み話しました。中大の話、家族の話、不健康(健康についてと言うよりも…)の話、等々盛り上がり、あちらこちらで笑い声がおこっていました。福田幹事長の「旅行の参加人数がちょっと…」という声も聞こえていましたが。

_(._.)_です。

締めは恒例の市川さんのエール!ありがとうございました。

 

福田さん、いつもながらお世話になりました。

(木曜会・柳)